
「膝を曲げるたびにポキポキ音がする」「音が鳴るたびに軟骨が削れているのでは」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。整体院に来られる方の中にも、この音をきっかけに受診を決意された方が少なくありません。
結論からお伝えすると、膝の音の多くは軟骨の損傷とは直接関係がありません。大切なのは「音が鳴るかどうか」よりも「痛みや腫れを伴っているかどうか」です。本記事では、理学療法士として多くの膝痛患者さんを診てきた経験をもとに、膝の音の正体と正しい対処法をわかりやすく解説します。
この記事の内容
膝がポキポキ鳴る「音の正体」とは
膝の音には大きく分けて2種類の原因があります。
①キャビテーション(関節内の気泡が弾ける音)
関節の中には「滑液(かつえき)」と呼ばれる液体が満たされています。関節を動かすときに圧力が変化し、この滑液の中に溶け込んでいたガスが気泡となって弾けることで「ポキッ」という音が生じます。これをキャビテーションといいます。
指の関節を鳴らすときの音と同じ仕組みです。一度鳴ったあとしばらく間隔をあけないと鳴らないのは、気泡が再形成されるまでに時間がかかるからです。この音は軟骨の損傷とは無関係です。
②腱・靭帯の乗り越え音
膝の周りには複数の腱や靭帯が走っています。筋肉が固くなっていたり、関節のアライメント(配列)がズレていたりすると、関節を動かすたびに腱が骨の突起を乗り越える際に「コリッ」「ガリッ」という音が生じることがあります。
この音も基本的には問題ありませんが、繰り返し同じ腱が摩擦を受けると炎症を起こすことがあります。痛みを伴っている場合は注意が必要です。
軟骨が削れているサインではない理由
「ポキポキ音=軟骨の損傷」というイメージが広まっていますが、これは医学的に正確ではありません。軟骨自体には神経がありません。そのため、軟骨が削れても「音」は生じませんし、「痛み」も直接は起きないのです。
軟骨が薄くなって骨同士がぶつかり合うような状態(変形性膝関節症の末期)であれば別ですが、そのレベルまで進行している方は音よりも強い痛みや動きの制限が先に出ます。音だけが気になっていて痛みや腫れがない場合は、軟骨の重大な損傷は考えにくいといえます。
心配しなくていい音・要注意な音の見分け方
心配しなくていい音の特徴
以下の条件がそろっている場合は、日常生活を制限する必要はありません。
- 音が鳴っても痛みがない
- 腫れ・熱感がない
- 音が鳴った後も普通に動ける
- 音の大きさや頻度が変わらない
要注意な音の特徴
以下のような場合は、一度専門家に診てもらうことをおすすめします。
- 音と同時に鋭い痛みが走る
- 音が鳴った後に膝が腫れる
- 最近急に音が大きくなった・頻度が増えた
- 音の後に膝が「抜ける」感じがする
音を気にして動かないことの危険性
「音が鳴るから膝を傷めてしまいそう」と考えて、意識的に膝を動かさないようにする方がいます。しかしこれは逆効果になることが多いです。
膝関節の健康を支えているのは、関節周囲の筋肉です。特に太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は膝の主要なサポーターです。動かさないでいると、この筋肉が急速に衰えます。筋肉が弱くなると関節への負担が増し、本当に軟骨が傷みやすい状態になってしまいます。
さらに、関節の中の滑液は「動かすこと」によって循環します。動かさないと滑液の循環が悪くなり、関節の栄養状態が低下します。痛みや腫れがなければ、適度に動かし続けることが膝の健康維持に不可欠です。
膝の音が気になる方のセルフチェック3つ
チェック1:大腿四頭筋の筋力テスト
椅子に座り、片方の膝をゆっくりと伸ばします。太ももの前が震えたり、90度以上伸ばせなかったりする場合は筋力低下のサインです。膝周りの筋肉を鍛えることで、音が軽減されることもあります。
チェック2:膝蓋骨(膝のお皿)の動きを確認
膝を伸ばした状態で、指で膝のお皿を上下左右に動かしてみます。滑らかに動かせるか、動かすと音や違和感が出るかを確認します。動きが固い場合は、お皿周りの筋肉や軟部組織が硬くなっているサインです。
チェック3:歩行中の音のパターンを観察
音が出るのはいつも同じ動作のときか確認します。特定の角度でのみ音が出る場合は腱の乗り越え音の可能性が高く、ほぼすべての動作で音がする場合はキャビテーションのことが多いです。それぞれの対処法が異なります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 毎日ポキポキ音が鳴っても大丈夫ですか?
痛みや腫れを伴わなければ、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。ただし、音の頻度や強さが急に変わった場合や、音の後に痛みが出るようになった場合は専門家に相談することをおすすめします。
Q2. 整体に行けば膝の音は治まりますか?
腱の乗り越え音が原因の場合は、関節のアライメント調整や筋肉のほぐしによって音が軽減することがあります。ただしキャビテーション音は構造的なものなので、完全になくすことは難しいです。音よりも「痛みをなくす・動きやすくする」ことを目標にしたアプローチが効果的です。
Q3. 子どもの膝もポキポキ鳴ることがありますが大丈夫ですか?
子どもの場合は成長期に関節の柔軟性が高く、音が出やすい傾向があります。痛みや腫れがない限りは問題ありません。ただし痛みを伴う場合は「オスグッド病」などの成長期特有の疾患も考えられますので、早めに専門家に診てもらいましょう。
膝の音が気になっている方も、まずは当院へご相談ください。痛みの有無・動きの状態・生活習慣を丁寧に確認し、あなたに合ったアドバイスをお伝えします。
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この記事を書いた人

長山 航大(理学療法士)
整形外科クリニック勤務後、膝痛専門整体として独立。リハビリ10年の経験を活かし、大阪・西中島南方で膝痛の根本原因を追求する施術を行う。Noah Body Conditionセラピスト。