
マラソンやジョギングをしていて、膝の外側が痛くなってきた——それは「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」、いわゆる「ランナー膝」かもしれません。スポーツ障害の中でも特に多いこの症状、整形外科とリハビリ・整体ではどう対応が違うのかを解説します。
この記事の内容
ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは
腸脛靭帯(ITバンド)は、骨盤から膝の外側に向かって走る長い靭帯です。ランニングや自転車など、膝の屈伸を繰り返す運動で、この靭帯が膝の外側の骨(大腿骨外顆)に繰り返し擦れることで炎症が起きます。
主な症状:
- 走っていると膝の外側が痛くなる
- 下り坂やスピードを出したときに悪化する
- 休めば痛みは引くが、走り始めるとまた痛む
- 膝の外側を押すと痛い箇所がある
整形外科での対応
整形外科では主に以下の治療が行われます。
- 消炎鎮痛剤(内服・湿布)による炎症の抑制
- ステロイド注射(炎症が強い場合)
- 安静指示(走ることの一時停止)
急性期の炎症を早く抑えるためには整形外科の対応が有効です。ただし、「なぜ炎症が起きたか」という根本原因への対処は、整形外科だけでは不十分なことが多いのが現状です。

理学療法士による整体でのアプローチ
ランナー膝は、走り方・骨盤の傾き・股関節の筋力不足・足部のアーチの問題など、複数の要因が絡み合って起こります。理学療法士による評価では、これらを総合的に確認します。
- 股関節外転筋(中殿筋)の弱化確認——ランナー膝の最多原因。弱いと骨盤が傾き、ITバンドへのテンションが増す
- 足部アーチ・着地パターンの評価——オーバープロネーション(回内足)があると膝の内側ストレスが増加
- ランニングフォームの確認——ストライドの取り方・腕振り・体幹の使い方
- ITバンド・大腿筋膜張筋のリリース——硬くなった組織を手技で緩める
「また走れるようになった」事例
30代男性。フルマラソンを目指してトレーニング中、30km過ぎから右膝外側の痛みで走れなくなり来院。整形外科では「安静にしてください」と言われたが、大会まで2ヶ月しかなく相談に来られました。
評価の結果、右股関節外転筋の弱化とオーバーストライドが主因と判断。走りながら並行してリハビリを行う「管理走行プログラム」を組み、6週間後に痛みなく30kmを走れるようになりました。

マラソン・ジョギングを続けながら治したい方へ
「完全に休まないといけないのか」「大会まで間に合うか」——そうしたご相談もLINEからお気軽にどうぞ。現在の痛みの状況と目標をお聞きしたうえで、現実的な改善プランをお伝えします。
よくある質問
Q: ランナー膝は整形外科と整体、どちらに先に行くべきですか?
A: まず整形外科で骨・靭帯・半月板の損傷がないか確認することをお勧めします。「腸脛靭帯炎」と診断されたら、整体での動作改善・筋力強化が非常に有効です。整形外科では炎症を抑える処置が中心なので、再発予防には整体でのアプローチが必要です。
Q: ランニングを完全にやめないと治りませんか?
A: 完全停止が必要なケースは少なく、距離・速度・路面を調整しながら継続できる場合が多いです。大切なのは「なぜ腸脛靭帯に負荷がかかっているか」の原因を取り除くことです。フォーム改善と股関節・殿筋の強化で多くのランナーが走りながら回復しています。
Q: 再発を繰り返しています。根本から治したいのですが。
A: 再発を繰り返す方の多くは、「炎症が引いたらまた走る」を繰り返しています。根本的な解決には①股関節外転筋(殿筋)の強化②ランニングフォームの修正③腸脛靭帯への摩擦を生む動作パターンの改善が必要です。
改善事例:42歳男性・マラソン完走を目指すランナー
「3ヶ月ごとにランナー膝を繰り返し、大会に出るたびに悩む」という42歳の男性。評価では中殿筋の弱化と着地時のニーイン(膝が内側に入る)パターンが確認されました。殿筋強化と着地動作の修正を5回で実施。フルマラソンで自己ベスト更新という嬉しい報告をいただきました。
ランナー膝(腸脛靭帯炎)悪化サインチェック
- 走行中より走行後のほうが痛みが強い
- 坂道・下り坂で特に膝外側が痛む
- 膝の曲げ伸ばし時にゴリゴリ感・引っかかり感がある
- ストレッチしても翌日には元通りになる
- 同じシューズを1年以上履き続けている
西中島南方の膝専門整体 Noah Body Condition
この記事を書いた人

長山 航大(理学療法士)
整形外科クリニック勤務後、膝痛専門整体として独立。リハビリ10年の経験を活かし、大阪・西中島南方で膝痛の根本原因を追求する施術を行う。Noah Body Conditionセラピスト。